均衡を守るということ

ブログを始めたら書いてみたいことが沢山ある。
自分自身のこと、あの映画や、あのバンド、あの曲のこと、最近ハマってるあの芸能人のこと、あの本について。
でも、最初から張り切ると長く続かなそうなので。
まずは本当に、最近のことを。

8月はとてもイベント盛りだくさんだ。
兄の結婚式、お笑いライブ2本、お盆の帰省、親友の結婚式、恋人の誕生日祝い。

兄とは少し年齢が離れていて、正直そんなに仲が良くない。うちの家族はみんな外弁慶で、家ではあまり喋らないし、お互いに干渉しない。
兄は就職のタイミングで実家を離れ、たまの休みには実家に帰ってくるけど、帰ってくると同時に友達と予定を入れては夜通し遊んで明け方に帰ってきて昼まで寝るような男だ。
私も私で、就職のタイミングで実家を離れ、休みにはよく東京に帰ってくるけど、大抵たくさん予定を入れて家には寝に帰るような20代前半だった。学生時代は勉強などで自室にいることが多かったし、兄は兄で遊んだり飲みに行ったりと外出が多かった。
姉もいるけど、まあ、そんな感じだ。
特別仲が悪いとは思ってないけども、仲が良いとは言えないな、って兄弟全員がうっすらと思ってるような感じ。
みんな母とは比較的仲が良くて、母が各兄弟と父を繋げているような相関図になっている。母は凄い。圧倒的BIG LOVE。

そんな兄の結婚式は、少し感慨深かった。
兄は、格好良い部類に入るような顔ではない。芸能人で例えるなら、とにかく明るい安村といったところで、とても悪い訳でもないけど、妹からの贔屓目で見ても、あまりモテるタイプではないと思う。ただ、人は良い。私自身はあまりその恩恵には当たってないが、とにかく優しいけど不器用な、同性からはめちゃくちゃモテるような人だ。実際、兄側の友人は一人女性がいただけで後は全員男だった。新郎側のテーブルに若い女がその人と私と姉しか居なかったので、兄の友人一同からはかなり好奇の目で見られた。なかなかこの歳になって、若い女としてちやほやされることはないが、兄の友人達にとっては「友達の妹」というなんとも良いフィルターを通して見えたらしく、構って貰えたのが少し新鮮な気持ちだった。わざわざこんな事を言うために話を脱線させてしまうくらいには嬉しかったんだろうなと今自分で気づいた。良かったね。

簡単に私の兄弟を紹介すると、一番上が長男の兄、二番目に長女の姉、私は末っ子の次女。姉の方が結婚は早くて、私は未婚。姉の結婚式は、会社の人も参列せず、身内と親しい友人のみのリゾート婚だったけれど、兄の結婚式は、会社の人も友人も多く、非常に賑やかだった。
会社の人から見た兄の姿、古くからの友人から見た兄の姿を語られるのは少し新鮮で。兄が色んな人から愛されていることを感じ、上司からの乾杯の挨拶、友人スピーチを聞いて少し泣いてしまった。その後も、奥さんとなる新婦を喜ばせるためのサプライズがあったり、親族を楽しませるための両親を巻き込んだ演出があったりと、過去参加したことがある結婚式の中でももっとも盛りだくさんな式だった。
本当に何年かぶりか、兄と手をつなぐ場面があって、その際に兄が小さい声で「ありがとう」と言った。ありがとうはこっちの台詞だと思った。兄のおかげで、楽しそうに笑う両親の姿を見ることができた。兄弟の素晴らしさを実感することができた。兄を尊敬した。ご祝儀も持たず、手ぶらで参加してしまってごめんね。(母を介して渡しました。)結婚祝い・引っ越し祝いも渡せていなくてごめんね。年内には、何か形にしたいなと思いながら。少し姉と相談しなければ。

ああいう場ではバタバタしてしまって意外と主役と話せる機会はない。実際、兄とも手を繋いだ時の「ありがとう」くらいしか会話をしていないし、そもそもそれ自体が会話と呼べるか怪しい。
兄のお嫁さんは、とても素朴で、素直で、感情と表情が繋がっていて、飾り気のない素敵な女性だ。自分が男だったらああいう女性に惹かれるだろうなと思う。
兄も兄で、何かと「俺には勿体無い素敵な嫁さんです。」と照れずに言っていて、そういうところは素晴らしいなと思う。妹がいうことではないけど、兄にだってたくさんいいところはあるのに、それと比べてもお嫁さんはもっと素敵な人ですよ、って、自分の旦那になる人が方々で言ってくれていたらとても幸せだろうなと思う。
とにかく私は兄の素敵な結婚がとても嬉しい。ただ本人には、ここに書いてあることの1割だって伝えられていない。私が見ている限り、両親も本人にはそんなこと伝えていないし、姉も伝えていないだろう。うちは何故かそういう不思議な距離感で持って均衡が保たれているように思う。
末っ子で未婚の私だけがそう思っているだけで、そっち側の世界ではみんなで大いにお互いを褒め会ったり、祝い合ったりしているかもしれないが。書いていて悲しくなってきた。私もいつか結婚したらそっち側に言って、みんなに大いに祝われるだろうか。それともやはりそっち側もそっち側で、うちの家族は淡々としているのだろうか。

うちの家族は少し不思議だ。家族なのに、干渉しあわない。知らないことが多い。きっと友達や恋人の方が、家族よりも自分のことを知ってくれている。もしかしたら普通はそういうものなのかもしれないけれど。
ちなみに私は、家族に見せている顔が一番どうしようもない。
まさに末っ子全開というか。かなり甘えさせてもらってる。ただ、直接は甘えない。自分から動かないだけだ。もっとも厄介なタイプの甘えん坊だと思う。それでもなんだかんだと構ってくれる兄弟や両親は優しいと思う。
仕事中や、友達といるときにはほぼ無意識のうちに気を使ったり、ある程度は自分から動いたりもできるのだけど、実家にいる間は駄目だ。人生の経験値を一度全てリセットされてしまっているような気分になる。このフィールドでは魔法は無効です、とポップアップが出ている気がする。いや、実際には自分の裁量でいくらでもなんとでもなるんだけれども。
何十年以上、この均衡が保たれてきているから、いきなり家族に気を使ったり思いやったりして、どこかギクシャクしてしまうのを恐れている。そんなこと、ないんだと思うけれど。

家族のこと、兄弟のことは話すと長くなってしまう。
いつか時間を作ってもう少し話したいと思っています。
よろしくお願いします。